ニューズレター『三橋貴明の「新」経世済民新聞』より
転載します。
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
「インフラ・イノベーション」が日本を救う。
本日は、過日出版しました拙著、
「インフラ・イノベーション」
~強くて豊かな国をつくる日本再生プロジェクト~
https://www.amazon.co.jp//dp/459408205X/
をご紹介したいと思います。
・・・
今の日本政府は激しい「緊縮」政府であり、
そのために日本のデフレは一向に終わらない、
そして、この状況が続く限り、
日本に明るい未来は訪れ得無い―――
この基本認識は、
この10年の間に、
ほんの少しずつではありますが、
世論においても、
政府、国会の中でも確実に拡大してきました。
もちろん、この考えを「反緊縮」と呼ぶなら、
この「反緊縮」の勢いは、
世論の趨勢を占めるまでには
到達してはいませんが、
それでも、10年前に比べれば、
状況は随分と改善してきたことは間違いありません。
例えば、当方も協力差し上げている
「平成の令和ピボット」(https://reiwapivot.jp/)にしても、
「表現者クライテリオン」(https://the-criterion.jp/)を
中心とした積極財政論においても、
さらには、左派の皆さんが中心となって進める政治運動、
「薔薇マーク運動」https://rosemark.jp/
にしても、そして、与党内における
「日本の未来を考える勉強会」(代表:安藤裕衆議院議員)
https://www.andouhiroshi.jp/category/workshop
「故郷を支援する参議院の会」
(代表:吉田博美参議院議員、事務局長:西田昌司参議院議員)
https://ameblo.jp/j-shoujinishida/entry-12379751665.html
においても、
10年前にはまったく存在していなかった潮流だと言えるでしょう。
こうした反緊縮の流れを理論的にサポートしているのが、
ケインズ経済学であり、昨今では、その流れを汲む
「MMT」(現代貨幣理論)です。
ですが、こうした積極財政論を考える上で、
必ず必要となるのが、
一体何に政府支出を充当すべきか―――
という議論。
事実、当方の参与時代、
政治家や官僚達と積極財政の議論を展開している時には、
必ずと言って良いほど、
「でも、ちゃんとした投資先がないと、
いくら経済学の話をしててもしょうがないんですよ」
と言われたものでした。
ついては、いつも筆者は、一体何に支出することが
効果的なのか――について、常に、
幅広い視点から考え続けてまいりました。
もちろん、その「答え」は、様々なものがあります。
例えば、昨今のMMTの議論では、
JGP(Job Guarantee Program:雇用保障プログラム)
の重要性が主張されています。
しかし、今の日本は、人口減少のあおりを受けて、
人手不足になっていますから、失業率は下がっており、
JGP以外の取り組みの重要性が高いものとなっています。
つまり、より直接的に賃金を上げる対策、
そのための企業の業績をより引き上げる対策の必要性が、
とりわけ高いものとなっています。
しかも、長いデフレのせいで、
(デフレ脱却時を想定した実質的な)生産性が低迷し続ける状況
が続いています。
こうした状況を考えるとき、
日本経済全体の生産性を「根底」から引き上げる
公共的な投資が重要な意味を持っていることは、
論をまちません。
こうした認識の下、
今、どういう「投資」が求められているのかを探るべく、
全国各地の、様々な分野の最新の「インフラ」を
とりまとめた書籍、
「インフラ・イノベーション」
https://www.amazon.co.jp//dp/459408205X/
をこの度、出版いたしました。
この書籍では、
都市インフラ、エネルギーインフラ、食料インフラ、
道路インフラ、鉄道インフラ、港湾インフラ、防災インフラ・・・
といった様々な分野の「インフラ」を取り上げています。
筆者もそれぞれのインフラの状況を
おおよそ存じ上げてはいましたが、
「最新」
の動向については、
それぞれの分野の最先端で
活躍されている方々の生の声を
それぞれの現場で直接お聞きするのが何よりも得策―――と考え、
おおよそ二カ年かけて取材し、
この度、出版することとあいなった次第です。
この二カ年の取材の間、
筆者は毎回、それぞれの取材先で、
「これは何と効果的な投資先なのだろう!」
と感嘆すると同時に、
「にも関わらず、全く十分な投資資金が
充当されていないではないか―――」
という悔しい思いを深めたものでした。
ついては是非、一人でも多くの国民に、
それぞれの投資が、如何に効果的なものかを、
しっかりとご認識頂きたいと感じています。
いずれにしても―――
より効果的な経済政策を考えるには、
「経済学的」に必要な財政政策を考えると同時に、
その具体的な「中身」の検討も必要不可欠です。
こうした検討と構想があってはじめて、
平成から令和への本格的な「政策ピボット」
が叶う事になります。
MMTを中心とした貨幣、経済、財政の議論に加えて、
現場の産業や社会を見据えたインフラの議論を適切に組み合わせ、
より効果的な対策を検討していくことが今
強く求められています。
「インフラ・イノベーション」
https://www.amazon.co.jp//dp/459408205X/
是非とも、ご一読ください。
追伸:
こうした具体論を効率化するためにも、「思想論」は絶対必要です。是非、「表現者クライテリオン」の最新号における「建白書:令和八策」も併せてご参照ください。
https://the-criterion.jp/backnumber/84_201905/